八幡図書館

   八幡図書館レファレンス事例


〔Q〕「倉」と「蔵」とは同じ「くら」ですが、その意味にどのような違いがありますか?

〔A〕もともとは「倉」は「穀物を入れておくところ」で、「蔵」は「大事なものをかくしてしまいこんでおくところ」といった意味合いがあったようです。『大漢和辞典』や『新字源』、『字統』で個々の漢字を調べますと、倉は穀物を入れるくら、蔵は藏の略字でかくす、おさめる、たくわえると読み、他にひそむ、しまつする、一目につかぬようにする、おおうなどといった意味が記載されています。『広辞苑』や『字訓』で「くら」をひくと「蔵・倉・庫」の字がまとめて充てられていて、「穀物・商品・家財などを保管・貯蔵する建物」と記載されています。さらに『広辞苑』では倉はものをしまっておく建物として広く使い、蔵は大事なものをしまっておく建物と記載され、『字訓』では倉は穀物をたくわえるところ、蔵はくさかんむりに従うことから草間に匿れる、転じてかくすという意味になったと記載されています。 また、『漢字語源辞典』では倉は納屋を表すといい、倉の形がその意味を象るとあります。蔵は中にしまいこむの意だと記載されています。

◎参考資料
・『大漢和辞典 縮刷版 1巻』 諸橋轍次/著 大修館書店 1976年 <R813.2/モ/1> (820頁)
・『大漢和辞典 縮刷版 9巻』 諸橋轍次/著 大修館書店 1976年 <R813.2/モ/9> (895頁)
・『角川 新字源』 小川環樹等/編 角川書店 1976年 <R813/オ> (182、871頁)
・『新訂 字統』 白川静/著 平凡社 2007年 <R821.2/シ>(560、572頁)
・『広辞苑 第6版』 新村出/編 岩波書店 2008年 <R813.1/シ> (821頁)
・『新訂 字訓』 白川静/著 平凡社 2007年 <813.6/シ> (270頁)
・『大辞泉』 小学館『大辞泉』編集部/編集 小学館 1995年 <R813.1/シ> (778頁)
・『漢字語源辞典』 藤堂明保/著 学燈社 1966年 <R822/ト> (377頁)